文学少女だったお母ちゃんの懐本ブログ

ハマった小説、漫画、ゲームについて楽しく語りたいと思います♪

14冊目 【チグリスとユーフラテス】

f:id:mkmkun:20160826123318j:plain

今回は新井素子先生の【チグリスとユーフラテス】です♪
1999年に出版され、SF大賞も受賞されました!


新井先生の作品の中ではかなりの長編(かなり分厚く、更に文字数もかなり多い!)に入るんじゃないでしょうか。


先生の作品は先生自身の経験などが描かれていたりします。
また多数のエッセイなどから、長年ファンをしてますと作家さんの思考とか悩みとか透けて見えることが‥
そういう意味ではファンにはツラい作品でした(>_<)


もちろん、内容は素晴らしいです!
今でも何度も読むほど大好きな作品のひとつですし、先生の代表作でもあると思うのですが、登場人物がまるで先生の分身のようで、心配になった場面も‥


お話のベースにあるテーマは『子供』または『生きる意味』というところでしょうか。
人類最後の、永遠の子供になってしまった『イブ』の悲しくも美しい物語。


キャプテン『リュウイチ』と惑星ナインの母『アカリ』
二人の作り上げた(正確には他にも多数移民してますが)惑星ナインの始まりから衰退への道のり。


各時代の特権階級(時代によっての条件は違います)の女性達が、それぞれの事情からコールドスリープ
し、惑星ナインの最後の子供になってしまった『イブ』の復讐によって起こされてしまう‥


『イブ』は子供のような格好、言動、振る舞いをしますが、70歳の老婆です。
けれど、惑星最後の子供として生まれ、永遠の子供として育てられてしまった歪みや怒りが復讐となって、起こされた彼女らに刃のように現実を突きつけます。


決してホラーものではありません。残虐なシーンがあるわけでも無い。相変わらずの素子節で描かれています。
サイコホラー的な要素はあるかもしれませんが、だからといって『イブ』は決して悪人では無いのです。


『イブ』は最後に惑星ナインの象徴として90歳でコールドスリープについた『アカリ』を起こします。
惑星ナインの母に自分という『現実』を見せつけるために‥


これは悲しい物語です。
ですが、絶望のお話ではありません。
読み終わる頃にタイトルの意味も分かります。
最後のページを読み終えた時、その情景がハッキリと見えた気がしました。


この作品は初見の方には向かない作品だと思いますが、新井先生の他の作品が気に入ったら、いつかは読んで頂きたいな(*^-^*)


今回はいかがでしたか?
次回は少年漫画ネタでいこうかなっ♪
お付き合いありがとうございました\(^o^)/